紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク | 紀伊・環境保全&持続性研究所 連絡先:kiikankyo@zc.ztv.ne.jp |
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・捕殺
害虫を見つけて捕る方法です。害虫を見つけるには、被害痕のある場所や、害虫の糞のある場所を探して害虫を捕まえます。ヨトウムシは、昼間は根の周辺の土中にいるので見つけにくいので、活動する夜間に探すと見つかりやすい。
・黄色蛍光灯
ハスモンヨトウ、オオタバコガなどのヤガ類は、夜間に黄色蛍光灯の光があると活動が停止し、被害を抑えることができます。果樹を加害するアケビコノハなどの吸蛾類も夜間に黄色電球などの光によって加害が抑制されます。チャバネアオカメムシも黄色の光で飛来が抑制されます。
・誘蛾灯
蛾類は夜間に青色、ブラックライトなどの誘殺灯に誘引されます。このため、防虫網でしっかりと覆ったハウスでは、夜間に誘蛾灯を点灯することにより、害虫の密度を下げ、被害を軽減できます。交信かく乱剤と誘蛾灯を併用することにより、それぞれ単独で設置した場合よりも、被害を軽減させるという報告があります。
・色彩トラップ
コナジラミ類、アザミウマ類、マメハモグリバエでは、色彩トラップによって、害虫の発生量をモニタリングするとともに、黄色粘着リボンでコナジラミを、ライトブルーの粘着リボンでミナミキイロアザミウマの防除を行うことができます。
・シルバーマルチ、シルバーストライプマルチ
土壌表面をマルチングする場合に、銀色や銀色の縞のものを用いると、アブラムシ類やアザミウマ類の圃場への飛来を抑制できます。ただし、作物が生長し、マルチ表面が覆われてくると効果が無くなります。ミカン園で紫外線反射シートを土面に敷くと、アザミウマ類の飛翔移動が妨げられて被害を抑制することができます。
・近紫外線除去フィルム
ハウスの被覆資材として、通常のフィルムを近紫外線除去フィルムに替えると、アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類のハウス内への侵入が抑制されます。しかし、一度侵入した害虫の増殖はほとんど妨げられません。育苗用の専用ハウスを近紫外線フィルムで被覆すると、上記の害虫の侵入が抑制されてクリーン苗を育てるのによい。しかし、ナス栽培でこのフィルムを用いると、果実の着色に影響するという報告があります。また、380mm以下が強く除去されたフィルムの場合では、セイヨウオオマルハナバチの訪花活動が阻害されると言われています。
・太陽熱消毒
夏に作物栽培が終了した時に、前作の害虫を次作に持ち越さないように、ハウスなどを密閉して高温にし害虫を死滅させます。あるいは、施設から除去した残渣や剪定枝にビニールシートをかぶせて高温にし、残渣の中の害虫を死滅させます。
・水に浸漬
ダイコンなどを加害するキスジノミハムシは、連作すると密度が高まり、被害が大きくなります。もし、被害圃場を水で浸すことができれば、越冬成虫の密度を低下させることができます。
・吸引機
発育が斉一な葉菜類などでは、コナガなどの小型害虫を吸引式捕虫機で定期的に採集して密度を低下させることができます。このための吸引式(あるいは吹き出し式)捕虫機が市販されています。
・天敵等の生物資材の利用:
施設栽培野菜や花き類を加害する害虫に対する天敵や微生物製剤が農薬登録され、市販されています(市販されている天敵(昆虫・ダニ)類一覧表)。これらの使用は、化学合成農薬のように撒けば効くというものではなく、作物の種類や害虫の種類によって、天敵等の使用時期、使用回数、使用間隔、使用量などに工夫が必要である。上手に使いこなせば効果が出るので、経験と知識が重要です。
・土着天敵の利用
圃場周辺の天敵相を活用する。このためには、例えば、トマトのハモグリバエ類を防除するために、サヤエンドウを近くに栽培し、サヤエンドウの葉を加害するがトマトの葉は加害しないナモグリバエに寄生した寄生蜂を葉ごと採集して、トマトハウス内に持ち込む方法があります。これらの寄生蜂はトマトのハモグリバエ類の天敵となります。
・バンカー植物
天敵の寄主となる昆虫が加害する植物を圃場内や周辺に植えると、天敵がここで増殖し作物を加害する別の害虫に移って寄生することがありますが、このような効果を狙うのがバンカー植物です。ただし、バンカー植物は対象作物の害虫が付かないものを選ぶことが肝要です。
・コンパニオン植物
ある種の植物同士をうまく組み合わせると、病害虫や雑草の被害をなくしたり減らすことができます。この相性のよい植物のことをコンパニオン・プランツと呼びます。害虫に対して忌避的な匂いのする植物、あるいはマリーゴールドのような殺線虫植物を近くに植えると、害虫の産卵や寄生を抑制ないし阻害することができます。